定期開催していた社内 LT イベントをクローズしたので経緯をまとめてみました

定期開催していた社内 LT イベントをクローズしたので経緯をまとめてみました

何かの終わり方を考えることは、何かのより良い続け方に思いを馳せることにも繋がります。エンジニアリング統括室が向き合った、社内イベント運営とそのクロージングの全記録。
Clock Icon2022.09.14

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はじめに

エンジニアリング統括室では、社員同士で部門を超えて技術に関する様々な情報を共有することを目的とした LT イベント「DevelopersLT」を 2021 年 8 月から社内向けに開催していました。社員の皆さんに支えていただきながらおよそ 1 年間運営を継続してきましたが、参加者数・登壇者数の推移や運営コストをふまえ、このイベントを 2022 年 8 月でクローズすることを決めました。この記事では、DevelopersLT の目的と運営の仕方、このイベントの良かったところ、イベントを運営していく上で見えてきた状況、そしてイベントをクローズする判断に至った経緯についてまとめてみたいと思います。

DevelopersLT の目的と運営の仕方

DevelopersLT が目的に掲げていたのは、以下の 3 つです。

  • 社員が技術に関する情報共有を行う場を増やすこと
  • 特定の領域に詳しい人として社内で認知される機会を社員に提供すること
  • 社員に登壇経験を積んでいただくこと

開催の頻度は隔週で、登壇者にはあらゆる技術についてライトニングトーク形式で自由に話していただくというものでした。登壇を希望する方には、全社向けに共有しているスプレッドシートにお名前と発表タイトルを記載していただくようにしていました。なお、ライトニングトーク形式としていましたが、登壇者各自の持ち時間は約 15 分間と、本格的な登壇よりは短めであるもののライトニングトークとしてはやや長めの設定でした。また、業務時間外の時間帯では参加が難しい方もいらっしゃることから、なるべく多くの方に参加していただけるよう日中帯の開催としていました。

運営スタッフとしてはエンジニアリング統括室メンバー以外に、社内から数名の有志のご協力をいただいていました。こういうときに進んで手を挙げてくださる方が多くいらっしゃるのも、クラスメソッドの良いところだと思います。

DevelopersLT の良かったところ

自由記述形式のアンケートで参加者から得られた好意的な意見としては、大まかに以下のようなものがありました。

  • 日々の業務では経験できない分野の話が聞けた
  • 社内制度「越境チャレンジ」における業務体験及び受け入れ体験が聞けた
  • 業務に絡む実践的な知見が得られた
  • ライトに話せる雰囲気であった
  • 多岐にわたるジャンルの話が聞けた

部門の垣根を超えた知見の共有ができるというメリットが反響には強く表れており、またそのことによって、参加していて「楽しい」「面白い」とも感じていただけていたようです。また、発表の仕方も人によって様々な個性があり、自分が登壇する機会に参考にしたいという声もありました。さらに、教科書的な知識を学ぶだけでは得られないような、登壇者の業務経験に基づく生きた知見に触れられることも、参加者からのポジティブな評価に結びついているようでした。

社内では各部署において、技術系 LT イベントや共有会が新たに開催されるようになってきているようです。こういった社内でのコミュニケーションの輪が広がるきっかけになったのではないかな、なっていれば良いなと思います。

運営を継続することで見えてきた状況

イベントの運営をおよそ 1 年間継続してきましたが、その中で以下のような状況が見えてきました。

登壇者数・参加者数の低迷

登壇者は毎回コンスタントに集まるというわけではなく、イベントの持続可能性を維持できるだけの登壇者数が自動的には確保されない、という潜在的な問題があることがわかってきました。

一方で、参加者数も徐々に減っていきました。これは、任意参加の社内勉強会においては、よく聞かれる話なのではないかと思います。

運営コストの肥大化

登壇者が集まらない場合はその回をスキップすることもできますが、ただ登壇者が名乗り出るのを待っているだけでは、次の回の開催には至りません。一度スキップすると、「次は開催しよう」という動機が働きます。そして、共有できる話題を持っていそうな人を探しに行くコストが発生します。

クローズの判断に至った経緯

上述の状況を受けて、イベント運営の現状を以下のように整理し、エンジニアリング統括室内で共有した上で今後の方針を検討しました。

イベント運営の現状

参加する意義が不明瞭である

技術の話を社内で共有するという目的を掲げていましたが、実際の運営スタイルは、不特定多数の話題を不特定多数の社員に共有するという形でした。もともと自由参加ですので、業務と直結しない内容も多く含まれるという点では、結果的に手元で抱えている作業を優先して参加を諦めるケースもあったかもしれません。

開催すること自体が目的と化している

運営を継続していくうちに、イベントを開催することを動機として登壇者を探しにいくようになっていました。イベントの開催が自己目的化していたわけです。今回のように登壇者や参加者が集まらない場合は、本来のニーズに解決策がフィットしているのかどうかまで遡って見直したほうが良さそうです。

イベントの成果が不明瞭である

課外活動ではなく業務の一環としてのイベント運営ですので、成果にも注目すべきでしょう。定量成果としては、イベントの目的として「社員に登壇経験を積んでいただくこと」が掲げられているため、このイベントにおける登壇者数が提示できそうではあります。自由記述のアンケートでは、ポジティブフィードバックもいくつか得られていました。ただ、業務における成果の質を測るという意味では、より具体的な指標が求められるでしょう。

組織課題の優先度に基づくクローズの判断

イベント運営のアプローチを改善してイベントを継続することも考えられましたが、今回はこの DevelopersLT というイベントをクローズすることに決定しました。

エンジニアリング統括室で扱うべき組織課題は数多くあります。それら複数の組織課題に対して、インパクトの大きさや範囲、そして問題間の依存関係から、優先度を判断した上で、各施策に取り組んでいます。このような優先度判断の観点で捉えた場合、DevelopersLT という施策では、インパクトの範囲が一部の参加者のみに限定されていると言えます。より優先度の高い組織課題に時間的なリソースを活用できるというメリットをふまえ、一旦ここでイベント運営に区切りをつけようという方向で話がまとまりました。

まとめ

定期開催していた社内 LT イベントをクローズした経緯について書いてきました。イベントのクローズについて考えることは、イベント運営のよりよい継続の仕方を考えることと、ちょうど表裏一体の関係にあるのではないかと思います。今回のように一旦やめてみるという結論もありえますし、やり方を改善して運営を継続するという道も当然ありえます。また、結果的にイベントをクローズすることになったとしても、そこで残した課題が、別の新しいイベントを生み出すきっかけになるかもしれません。さらに、限られた時間をどのように活用するかを考える上でも、こうした決断は重要な観点となります。何かをやめるということをネガティブに捉えすぎず、次に繋げる気持ちで向き合えると良さそうですね。

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